ラグジュアリーに知性を。

Feature

2024.03.23

いつの時代も多くの憧れを集めるラグジュアリーブランド。
その魅力はデザインにあるのか、品質にあるのか、それとも価格にあるのか。
いや、どうやらそれだけではブランドにはなれないようだ。

「ブランドづくりで苦しむのは最初のひと転がしです。転がりだしたら、あとはスムーズに進む。例えば、最初は4の力が必要でも、動きだしたら2の力でまかなえる、最大静止摩擦係数と動摩擦係数の関係のようなもの」。理数系人間の坂田氏らしい説明だ。
坂田氏は以前、フランスの某有名ブランドの仕事に携わった。女性のカリスマデザイナーがつくったそのブランドは世界中で愛されていたが、日本では男性ファンが少なかった。坂田氏は男性に対してブランド訴求するために、デザイナーの歴史を掘り下げながら男性への想いや接点を見つけてアピールし、一般男性からの共感を得ることにした。
そこで坂田氏が取り上げたのがデザイナーとパブロ・ピカソ、ジャン・コクトー、イーゴリ・ストラヴィンスキーがコラボレーションした舞台。男性のアーティストたちと共にハイレベルな総合芸術を創作したことを伝えることで、芸術を愛する男性の興味を惹き、ブランドへのメンズ意識の強化を図った。
「ファッションと芸術、文学、音楽をひとつの舞台上にまとめあげたそのデザイナーは、いまでいうコングロマリッターです。異種なものを結びつけることで、これまでになかった価値を生んだ。そうした創造性があり、さらに成功したストーリーはブランドを強くします。このように、企業の歴史のなかから知性を発見して広める手法を僕は実践してきました」。
さらに坂田氏はそのブランドが所有するホールを使い、音楽をテーマにしたサロンを開催、新人アーティストの発掘を始める。「デザインや品質だけではなく、芸術的な要素もあってこそブランドは成り立ちます」。坂田氏には現在、イタリアの男性ブランドや世界で最も歴史あるカード会社のダイナーズクラブといった、多彩な著名企業からオファーが来ているという。“ラグジュアリーに知性を!”そんな坂田氏の想いが多くのブランドをつくっていく。

“The toughest part of brand-building is the initial push. Once things start rolling, they proceeds smoothly. For instance, while a force of 4 might be required initially, once in motion, a force of 2 suffices, like the relationship between static and kinetic friction coefficients,” says Sakata, who has a strong background in science and mathematics.
Previously, he worked with a certain famous French brand, created by a charismatic female designer, and beloved worldwide but with few male fans in Japan. To make the brand more appealing to men, Sakata delved into the designer’s history to find and promote connections and sentiments towards men that resonate with men at large.
Sakata showcased collaborations between the designer and male artists like Pablo Picasso, Jean Cocteau, and Igor Stravinsky, highlighting the creation of sophisticated art. This strategy drew the attention of art-loving men and strengthened the brand’s hold on men.
“The designer bringing together fashion, art, literature, and music on a single stage was a conglomerator in today’s terms. By linking different elements, she created unprecedented value. Such creativity and stories of success strongly fortify the brand. In this way, I have been practicing the method of discovering and spreading intelligence from within a company’s history.”
Moreover, Sakata began using the brand’s hall for salons themed around music and initiating the discovery of new artists. “A brand stands not just on design or quality but also on its artistic elements.” Sakata now receives offers from many renowned companies, including an Italian men’s brand and the Diners Club, the credit card company with the longest history. “Injecting Luxury with Intelligence!”” That is the passion that drives Sakata brand creation work.”

坂田康太郎

ラグジュアリーブランドプロデューサー

鎌倉生まれ、東京理科大学 理学部 物理学科卒業。資生堂のCM制作でACC賞受賞他、多くの広告賞受賞。(社)日本プロトコール&マナーズ協会教授、東京藝術大学ピアノコンクール審査委員、音楽家就業支援機構アンバサダー、18年間以上CHANEL PygmalionDaysプロデューサー、『オペラ直前講座』編集長、(株)CAP代表取締役

Born in Kamakura. Graduated from the Department of Physics, Faculty of Science, Tokyo University of Science. Has won many advertising awards including the ACC Award for Shiseido TV commercial production. Professor at the Protocol & Manners Association of Japan,judge at the Tokyo University of the Arts Piano Competition, ambassador for the Musician Employment Support Promotion Organization,producer for CHANEL Pygmalion Days for over 18 years, editor-in-chief of the Pre-Opera Course, and CEO of CAP Co., Ltd.

ブランドの歴史を探り、
ストーリーを紡ぎ、アピールする。
そこにはいつも、 “知” という宝がある。

「ブランドづくりで苦しむのは最初のひと転がしです。転がりだしたら、あとはスムーズに進む。例えば、最初は4の力が必要でも、動きだしたら2の力でまかなえる、最大静止摩擦係数と動摩擦係数の関係のようなもの」。理数系人間の坂田氏らしい説明だ。
坂田氏は以前、フランスの某有名ブランドの仕事に携わった。女性のカリスマデザイナーがつくったそのブランドは世界中で愛されていたが、日本では男性ファンが少なかった。坂田氏は男性に対してブランド訴求するために、デザイナーの歴史を掘り下げながら男性への想いや接点を見つけてアピールし、一般男性からの共感を得ることにした。
そこで坂田氏が取り上げたのがデザイナーとパブロ・ピカソ、ジャン・コクトー、イーゴリ・ストラヴィンスキーがコラボレーションした舞台。男性のアーティストたちと共にハイレベルな総合芸術を創作したことを伝えることで、芸術を愛する男性の興味を惹き、ブランドへのメンズ意識の強化を図った。
「ファッションと芸術、文学、音楽をひとつの舞台上にまとめあげたそのデザイナーは、いまでいうコングロマリッターです。異種なものを結びつけることで、これまでになかった価値を生んだ。そうした創造性があり、さらに成功したストーリーはブランドを強くします。このように、企業の歴史のなかから知性を発見して広める手法を僕は実践してきました」。
さらに坂田氏はそのブランドが所有するホールを使い、音楽をテーマにしたサロンを開催、新人アーティストの発掘を始める。「デザインや品質だけではなく、芸術的な要素もあってこそブランドは成り立ちます」。坂田氏には現在、イタリアの男性ブランドや世界で最も歴史あるカード会社のダイナーズクラブといった、多彩な著名企業からオファーが来ているという。“ラグジュアリーに知性を!”そんな坂田氏の想いが多くのブランドをつくっていく。

“The toughest part of brand-building is the initial push. Once things start rolling, they proceeds smoothly. For instance, while a force of 4 might be required initially, once in motion, a force of 2 suffices, like the relationship between static and kinetic friction coefficients,” says Sakata, who has a strong background in science and mathematics.
Previously, he worked with a certain famous French brand, created by a charismatic female designer, and beloved worldwide but with few male fans in Japan. To make the brand more appealing to men, Sakata delved into the designer’s history to find and promote connections and sentiments towards men that resonate with men at large.
Sakata showcased collaborations between the designer and male artists like Pablo Picasso, Jean Cocteau, and Igor Stravinsky, highlighting the creation of sophisticated art. This strategy drew the attention of art-loving men and strengthened the brand’s hold on men.
“The designer bringing together fashion, art, literature, and music on a single stage was a conglomerator in today’s terms. By linking different elements, she created unprecedented value. Such creativity and stories of success strongly fortify the brand. In this way, I have been practicing the method of discovering and spreading intelligence from within a company’s history.”
Moreover, Sakata began using the brand’s hall for salons themed around music and initiating the discovery of new artists. “A brand stands not just on design or quality but also on its artistic elements.” Sakata now receives offers from many renowned companies, including an Italian men’s brand and the Diners Club, the credit card company with the longest history. “Injecting Luxury with Intelligence!”” That is the passion that drives Sakata brand creation work.”

  • a
  • b
  • c
  • d

a. ローマ歌劇場3階客席より。上の席では、2列目なのにステージが見切れてしまう。
b. パリオペラ座ホワイエよりセーヌ川方向の眺め。
c. パリオペラ座バックステージ。多くのパトロンがバレエダンサーと過ごした場所。
d. パリオペラ座ホワイエ天井シャンデリア装飾が美しい。

あらゆるクリエイティブが集まって生まれるオペラ。
気軽に鑑賞しながら、世界へと旅立って、
アームチェアトラベラーを楽しむこともできる。

ラグジュアリーブランドを育てる、そんな坂田氏の日常に欠かせないのがオペラ。「オペラには、まず音楽・声楽があります。そしてグラフィックデザインや立体アート、衣装デザイン、劇・舞台の構成演出、歴史や文学の要素もあり、さらにはその時代の政治や風俗なんかも含まれます。幕間にはワインなどのお酒やちょっとしたおつまみを楽しむ。お客さんたちの服装も気になります。このようにオペラには総合的な芸術から食、ファッションまで、ありとあらゆる表現の要素が揃っています」。まさに文化のコングロマリット!そんなオペラをひとりでも多くの人に楽しんでもらうための活動を坂田氏はしているという。「みなさん、オペラは敷居が高いと思っている。そんなことはありません。演目や座席によってはチケット代もそんなには高くありません。ですので、もっと気軽にオペラを楽しんでみてください」。

最後に、初心者にとっての、オペラの楽しみ方を聞いてみた。
「誰もが知っている有名な曲がかかる演目があります。例えばビゼーのカルメンはいかがでしょう。劇中にかかる “ハバネラ” はどこかで聞いたことがあるはず。知っている曲から入った世界、カルメンの場合そこはスペインのセビーリャ。エキゾチックな街並みのなか、どこからか爽やかなオレンジの香りが漂ってくる。舞台を見て、歌を聴いていると、日本にいながらスペインの街へとトリップできる。フランス、イタリア、舞台はさまざま。劇場のイスに座りながら旅をする、そんなアームチェアートラベラーとなれるのも、オペラの楽しみのひとつです」。
ブランドに、人に、オペラを始めとした知性を広める、それが坂田氏の仕事となっている。

In nurturing luxury brands, a vital part of Sakata’s everyday life is opera. “Opera first and foremost involves music and vocal performance. Then, there’s graphic design, three-dimensional art, costume design, drama and stage direction, as well as elements of history and literature, and even the politics and customs of the era. During intermissions, I enjoy a glass of wine or some snacks. The audience’s attire also catches my attention. Thus, opera encompasses a comprehensive range of artistic expressions, from the arts to food and fashion.” It’s truly a conglomerate of culture! Sakata is working to bring such opera to as many people as possible. “People think that opera is inaccessible. That’s not the case. Depending on the show and seat, ticket prices aren’t always that high. So, I encourage everyone to enjoy opera more casually.”

Lastly, we inquired about how neophytes can enjoy opera.
“There are performances featuring well-known pieces familiar to all. Take Bizet’s Carmen for example. You must have heard “Habanera” played somewhere before. In the case of Carmen, the world you enter from that song you know is Seville, Spain. Amidst the exotic street scenes, you might catch the refreshing scent of oranges. Watching the stage and listening to the songs, you can travel to the streets of Spain while sitting in Japan. Becoming an armchair traveler enjoying diverse performances set in France, Italy, and elsewhere from a theater seat is one of the joys of opera. ”
Spreading intelligence to brands and to people, starting with opera, is Sakata’s job.

初めてのオペラ、選び方、楽しみ方。

オペラは芸術の最高峰とされる。音楽、歌唱、絵画、演劇、歴史、宗教、文学、舞踊などあらゆる要素を包含しているので、
知的な点と点が繋がる瞬間は、素晴らしい高揚感が得られることでしょう。この機会にいかがでしょうか。

『オペラ直前講座』(オペチョク)

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【お問い合わせ】
株式会社 CAP
TEL:03-3541-4363 e-mail:sakata@caap.jp

小田急線「代々木上原」駅より徒歩5分

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新国立劇場《椿姫》

パリを舞台に繰り広げられる、はかなくも切ない娼婦の悲恋物語の名作オペラ。

新国立劇場《トスカ》

今も実在するローマの遺跡などを舞台にした、史実の悲劇オペラ。
舞台美術も圧巻です。

三越『大人のオペラサロン』

日本橋三越本店で開催されているサロン。坂田氏の、面白くも、危険な解説トークが大好評です。毎月第3日曜日14:30~16:00開催。1回のお試し受講・初心者大歓迎です。

【お問い合わせ】
三越カルチャーサロン(日本橋三越本店内)
TEL:03-3274-8595(直通)

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「オペラ」が総合芸術と言われる理由は、オペラが「音楽」のみならず、「文学」「美術」「建築」などの芸術と密接な関係があることに起因します。作曲当時の「社会情勢」「宗教」「戦争」といった史実とあわせて学ぶことで、更にオペラ鑑賞のバリューを高めるとともに、芸術や歴史の知識を総合的に楽しみながら簡単に身に付けることができます。

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